2022.04.01

コラム

「ワクチン接種後に胸が痛くなって・・」と当院循環器内科を受診する方が増えてきました。2022年3月末までに20数名の方がこのような症状で当院を受診されました。

ワクチン接種後の心筋炎・心膜炎は若い男性に多い

頻度としてはごく稀ですが、ワクチン接種後に心筋炎や心膜炎を疑う事例が報告されています。ワクチン接種1回目より2回目に、高齢者よりも若年者に、女性よりも男性により多くの事例があるといわれています。

なぜ心筋炎が発症するのかという機序はまだ不明です。ワクチン接種による全身の炎症や免疫反応の賦活化により、心筋の炎症が引き起こされるのではないかと考えられていますが、その解明については今後の課題とされています。

ワクチン接種後の心筋炎・心膜炎の診断

心筋炎・心膜炎の典型的は症状は胸痛、動悸、息切れ、むくみなどです。ワクチン接種後2~4日後に発症することが多いと言われています。特に10代、20代の男性の2回目接種後に多い傾向があります。

また、ワクチン接種以外の原因でも同様の症状となる場合があります。

診断は循環器内科で行います。診察所見、心電図、血液検査などを行い診断します。心臓超音波検査を実施することもあります。

問診、診断

当院では1~2回来院いただき最終的な診断をしております。当院でワクチン接種を受けた方はもちろん、集団接種会場や他医療機関で接種された方、かかりつけ医のいらっしゃらない方もご相談に応じております。

ワクチン接種後の心筋炎・心膜炎の頻度はあまり高くない

このワクチン接種後の心筋炎・心膜炎については多く報道され大変有名になりましたが、発症頻度はあまり高くありません。国立感染症研修所の発表によると、

  • ・ワクチン接種開始から2021年10月までの約8か月間に副反応としての心筋炎関連事象は総計255人
  • ・ファイザー製 0.9件/100万回接種
  • ・モデルナ製  6.5件/100万回接種

コロナ感染症にり患したことによる心筋炎・心膜炎の発症頻度は

  •  ・15歳以上男性 1048人/100万人
  •  ・15歳以上女性 607人/100万人

結局、ワクチン接種によるコロナ感染や重症化予防のメリットの方が大きいことも知ってほしい

ワクチン接種による副反応よりもコロナ感染症による心筋炎・心膜炎の頻度の方が圧倒的に多く、ワクチンのリスクベネフィットを説明する根拠となっています。

詳しくはこちらを参照してください

また、3回目接種後の心筋炎・心膜炎についても、現時点において1,2回目と比較して高くないと報告されています。(厚生科学審議会R4.3.18時点)

受診の際にはご予約を

当院では1~2回来院いただき最終的な診断をしております。

現在、初診は予約制となっております。当日予約が可能な日もありますので、ご希望の方はお電話でご予約をお願いします。

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